「はい。NTT電報受付センターです」
あ、すいません、あの、お悔やみを送りたいんですけど、文例が手元になくて…自分で考えた文章でもOKでしょうか?
「はい。大丈夫ですよ。そのほうが心がこもって先様も慰められると思いますし」
そうですか、じゃあ“訃報を耳にして、いよいよその時が来てしまったのか、と本当にショックでした”
「あの、お客様」
はい、なんですか?まだ続きがあるんですけど。
「失礼でございますが、その『いよいよ』というのは忌み言葉でございまして、ご使用は避けられたほうがよろしいかと…」
あ、そうですか、じゃあここは飛ばして“もう彼の顔を再び見ることが叶わないなんて、かえすがえすも残念です”
「お客様、お客様」
はい?まだ続くんですけど?
「申し訳ございません、その『再び』も『かえすがえす』も忌み言葉でして。繰り返しとか重ねる言葉は禁句なんですよ」
え!そうだったんですか!知らなかったなぁ〜!んじゃあ、次の“今は旅先の事とて、駆けつけることができませんが、また追って必ずお線香を手向けに参りたいと思っております”っていうのは?
「はい、それも『また』と『追って』が忌み言葉になりますので…あの、もしよろしければ、無難な文例をご提案させていただきましょうか?」
そうですね〜変な書き方してマナー違反になっては元も子もないし。じゃあ、一般的なやつをお願いします。
「かしこまりました。ではこちらなどはいかがでしょうか。『悲報に接し、悲しみにたえません。心よりご冥福をお祈りいたします』」
あ、それいいですね!じゃあその文例でお願いします!えっと、送り先はね、旭川市○○町にある教会なんですけど。
「え?お、お客様、故人の方はキリスト教式のご葬儀でいらっしゃいますか?」
はい。洗礼名はザビエルって言うんですよ。
「申し訳ございません、『ご冥福』というのは仏教用語ですので、キリスト教式ではちょっと…」
別にいいんじゃないですか?だって弔電って喪主にあてて打つんでしょ?そいつの嫁さんは仏教徒なんですから。
「いえ、そうおっしゃられましても…ちょっと…」
まぁまぁそう言わないで。えっと、じゃあ葬儀の日時に間に合うように、えっと、日時は…あれ?もう過ぎてる!?あははは、すみません、お悔やみ文章自分で考えてる間にとっくに葬儀終わっちゃってたみたいで。もういいです、さいなら〜!

